2015/03/12

たじまどん


先週の日曜日、吹上の「大汝牟遅神社」で開催される「たじまどん」祭を見に行った。

この「たじまどん」は、現在は田起こしの祭りとして、一年の豊作を願うものとなっているが、
もともとは、島津の日新公が、ここで久多島に祀られた天智天皇の娘の慰霊祭を行ったことが起源とされている。
「たじまどん」という名称になったのは、「くたじま」の「く」が「苦」を連想させるからはずし、「殿」が転化した「どん」をつけた、とのこと。
今年は、必ずや行きたいと思っていた。

まず、ヤツデの実と竹筒が配られる。

ヤツデの実。ヤツデの葉は「手のひら」を連想させ、本来は赤ちゃんの手に近いカエデを使いたいが、鹿児島にはこの時期カエデはないので、ヤツデを使うことになった、とのこと。この実は「多産」も意味し、一人で亡くなった皇女を慰め、子どもがたくさん産まれることを願うものとなっている。

中心に土が山状に盛られ、四方をしめ縄で囲われた地の中で、田起こしの様子がおもしろおかしく演じられる。まず「サッキョン」が四方を耕し、水門の石をどけて田に水を入れる。

会場の大汝牟遅神社。快晴のお天気

牛が登場する。牛は人にこき使われ、やがて暴れだして中央の砂をあたりに撒き散らす。その砂を浴びると一年健康に過ごせると言われている。暴れる牛に、観客は竹筒にヤツデの実を入れ、牛に吹きかける。
最後に宮司によってこの地にモミが撒かれる。

観客に「トッノコ」というおにぎりが配られた。トッノコとは、歳徳神のことだそう。

祭りが終わったあと、くじびきがあって私は「宝山」の一升瓶が当たり、いただいた!
とても嬉しい。
宝山は吹上で作られている芋焼酎。大汝牟遅神社に一年間奉納されていた御神酒だよ。


ぽかぽかと暖かい、鹿児島の春の一日。約500年続くこのお祭りは、その年その年の出演者によるおもしろおかしいアレンジが加えられながら、本筋を守って伝えられている。いい意味での「てげてげ」感、すごい。今年出演された方に伺うと、「面白くないと誰も見ないから」とおっしゃっていた。鹿児島らしいおおらかさの底力。すごいなぁ。とてもいい一日だった。