2013/11/07

富雪庵 搬出


掛川のイベント後、富雪庵で展示していた作品の搬出をするため甲府へ向った

掛川から富士、富士から身延線で甲府
富士宮で富士山を通り過ぎる そこから先は、どんどん土地の気質が変わっていく感じがして どんどん山へ入る 
窓の外にいい景色がたくさん見えた 単線鈍行のたっぷりとした一人と日差しと景色の時間 
途中、山の中に「波高島(はだかじま)」という駅があった こんな山の中なのに海を感じる名前 不思議
これまでは名古屋方面から甲府へ行くルートだったので、この道の先にほんとに私が行くべき甲府があるのか 一瞬不安になる けどたしかに「甲府」て書いてるし見たことある景色


甲府では芸術祭はもう2週間ほど前に終わっていて、やはりどこか芸術祭中とは雰囲気が違って知らない街のように見える
けれど富雪庵に着いたら、リエコさんが来てくれて、自分が作った作品があった。不思議な感覚

ひさびさに見た茶室と糸 光が糸に射して、きれいだった
ちゃんと記録写真を撮っていなかったので写真を撮った


床の間に編んだ 円




朝の光の円をお茶碗に容れた写真と富雪にあった石

光の円を手のひらに容れた写真と、朝6時半に見た壁にうつる光の円



                             


写真を撮ったり片付け作業をしているあいだ、制作時同様、お茶室には心地いい風が入り、やわらかい光が射していた とてもきもちいい そう、こことてもきもちいいんだ

思うに茶室というのはその材質から建築から設計から、よくわからないけど風水とか水まわりとか、茶の湯という芸術を体得しやすくする、それ一点のみを追求して考案されたものなのだと思う 

だからとても集中するし 光や音、風として訪れる外界との関連の具合が、とても調和がとれている 見せる人も見る人も、この空間によって身体と意識がほどかれ、ひらかれ、行き来しやすい状態になる
ホワイトキューブとは真逆の作り方の、芸術を表現し共有し体感する ための部屋なのだと思った


制作中、岡倉天心の「茶の本」の一節を思い出していた
『茶道の要義は「不完全なもの」を崇拝するにある。いわゆる人生というこの不可解なもののうちに、何か可能なものを成就しようとするやさしい企てであるから。』

また「茶室」という空間で作品を作りたい
その機会に恵まれることを



貴重な空間を、作品制作・展示のために提供してくださった「cafe&gallery 富雪」リエコさん、
甲府に呼んでくださり作品制作の機会を与えてくださった「こうふのまちの芸術祭」実行委員の皆様に感謝申し上げます

ありがとうございました